身近な街の本屋さんが好きである。新しい情報を入手できる場所である。馥郁(ふくいく)たる文化の薫りを感じられるスポットともいえる。格調は高くないが、大衆小説やマンガといった娯楽作品が揃っている。目前にあれば、手に取ってしまうゴシップ記事満載の週刊や月刊の雑誌類の魅力もある。20年以上前になるが、筆者は月刊誌「科学朝日」を配達してもらっていた。

 この本屋さんの経営が困難になっている。ネット普及により、雑誌類や書籍の出版数が減少している。確実な稼ぎ頭だった雑誌類は、コンビニ販売にその座を奪われて久しい。また、出版社からの直送雑誌類が増加している。書籍分野でも、新刊・古本共にアマゾンが席巻している。便利なため、筆者もアマゾンを使うことが多い。さらに、万引き被害が少なくないとも聞く。

 文教堂という書店をご存じだろうか。神奈川県川崎市に本社があり、全国に約220店を展開している。店舗数で、日本最大の書店チェーンという。筆者は東京都三鷹市在住だが、馴染みがある。JR中央線・三鷹駅の他に、武蔵境、東小金井、武蔵小金井の各駅周辺に店舗を構える。

 武蔵境駅には、駅前店があった。2011年、隣接するライザ・マンション1Fに「アニメガ」という店舗が誕生した。文教堂の経営会社による新スタイルの書店である。アニメやマンガに注力し、CD・DVDや周辺グッズを揃えていた。周辺は大学や高校が多く、ニーズがあると判断したのだろう。さらに、イベントや通販も手掛けるようになった。本戦略が奏功し、アニメガ店は全国に増加してきた。

 このほど(2017年3月)、気がついた。普通の本屋さんだった武蔵境駅前店が、アニメガ店に変身していたのだ。前述の品揃えに加えて、店頭には村上春樹氏「騎士団長殺し」といった新刊書が山積みされていた。コンビニでは、扱いの少ないホビー関連の雑誌類が充実している。また、おしゃれな文房具も数多く扱っている。アニメガのマーケティングは、理解できる。ライザのアニメガ店は、コンビニになっていた。

 以前、ヴィレヴァン(ヴィレッジ・ヴァンガード)という興味深い本屋を紹介した1)。ここと似ている部分がある。筆者がイメージする文化の薫りではないが、これらも文化に違いない。力があるチェーン店だからできることだろう。このようなスタイルでも書店経営が維持できるのなら、応援したい。
1) http://blogs.yahoo.co.jp/teckno555/69194212.html